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東日本大震災で被災地の人は何を検索したのか

2011年9月12日 11:50

こんにちは、Yahoo!検索ランキングのイケミーです。

東日本大震災から9月11日で半年が経過しました。

被災地において、今、何が必要かという問題は、大規模災害時には必ず起こります。
東日本大震災ではテレビや新聞などでも、何々が足りないといった情報を繰り返し伝えていましたが、膨大に発生した事象により増え続ける情報量のなかで、すべてを伝えることが難しかったことや、また、あまりに多くの出来事などによって災害当初のことがあっという間に流れ去ってしまったこともあり、改めて当時の検索ログを振り返り検証をすることで、大規模災害時に被災地の人がいったい何を検索し何を求め、またインターネットはそれに対して本当に貢献できたのか、そういった検証が行えないかと考えました。

Yahoo!検索ではIPを用いた地域別の検索を集計しています。(詳しくは「サーチのなかみ - 地域別」などを参照)
そこでこの情報を利用し、東日本大震災において被災地から検索されたワードのデータを収集、分析することで、あの震災時、被災地で本当に探し求めていたもの、その時に本当に必要だったものなどの分析をしていきたいと思います。
なお、今回は被害が大きくかつ検索傾向に類似性の見られる「岩手県」「宮城県」「福島県」の検索ログデータを対象に検証を行っております。

では、日を追いながら被災地域よりどのような検索が行われたのかを検証していきたいと思います。
といいましたが、検証を開始していきなり大きな問題にぶつかってしまいました。
被災地からの検索ログを検証するということは、当然その地域からの検索があってはじめて可能になるのですが、今回の災害は東北全体を中心に広範囲で停電が発生したため、検証対象とした3県の3月11日の検索ログデータがほとんど残っていないのです。

東日本大震災の二日前、3月9日にも三陸沖にてM7.2の地震が発生しましたが、その日の「地震」の検索分布と3月11日を比較したものが下になります。

 

3月9日の「地震」の検索分布と3月11日を比較したもの

 

本来は3月9日のように震源より近いところからの検索が多くなる傾向がありますが、3月11日は東北地方からの検索が止まってしまっていたことがわかります。

3月12日になり電気が復旧した地域より検索されはじめるようになりましたが、今回の検証では3月11日は少しだけ存在する福島県の検索ログ、3月12日以降は3県の検索ログを元に考察しています。

●被災地からの検索傾向の推移

【3月11日】
大規模災害時、被災地の人はまずどこに情報を求めに行くのでしょうか。
3月11日の検索ログより、福島県からの検索傾向が特に強い検索数上位のワードを見てみると、

1  「福島県」
2  「郡山市」
3  「いわき市」
4  「福島県庁」
5  「福島市」

となっています。災害時に県や市町村が検索されているというのは非常に重要なポイントだと思いますので、この点に関しては後半で詳しく考察したいと思います。

ほかに3月11日の時点で福島県から特に検索されているクエリは「水道」に関するものです。

「○○ 断水」
「○○ 水道」
「○○ 水道局」
(※○○には市町村名など)

などの水道に関する検索が非常に多くされています。
一方、ガスに関連した検索数は少ないのですが、これは福島県内におけるガス供給停止が約2万戸(日本ガス協会プレスリリースより)だったのに対して、断水が42万戸(国土交通省水資源部資料より)という被害規模の差だと思われます。
また、福島県の検索ログには停電に関する検索はあまり残っていませんが、さらに周辺県では「東北電力」「東京電力」や「○○ 停電」といったワードも検索されており、被害の状況に応じて検索されているようです。

それ以外の検索ワードとしては「災害伝言ダイヤル」「○○小学校」なども検索されています。
周辺県まで調査地域を広げると「運行情報」などのワードも上位に入っていますが、災害時にまず必要とされる情報が、水道、ガス、電気といったライフラインに関する情報だということが検索ログより推測できます。

【3月12日】
12日からは福島県に加えて、宮城県、岩手県からの検索が戻り始め、データとして残るようになりました。

地震発生当日に多く見られた「○○ 断水」などの水道の被害・復旧状況を調べる検索に加え、この日からは、

「○○ 給水」
「○○ 給水場所」

といった当面の水を求めるための緊急性の高い検索が増え始めます。
また「○○ 配給」や「○○ 炊き出し」も散見されるようになります。

ほかに増えているのが通信手段に関連するワード。
各携帯や電話会社、ひかり電話、「△△ 不通」などの通信に関するものが非常に多く検索されています。

それ以外は地震発生初日同様、ライフラインやその復旧に関する情報の検索が非常に多く見られます。
なお、福島県においては12日以降、原発に関連するワードの検索が上位に登場するようになりますが、今回の検証ではそれらのワードは対象としていません。

【3月13日】
震災から3日目になると明らかに検索のワードに変化が出てきます。
まずは、「ガソリン」に関連するワードが急に増加しはじめています。
実際の報道においてガソリン不足の様子が頻繁に伝えられるのはもう少し後になってからだと記憶していますが、12日の時点で「仙台 ガソリンスタンド」や、秋田県から「秋田市 ガソリンスタンド」など一部地域よりガソリンを探していると思われる検索データが残っており、13日にはさらに広い範囲でガソリンを求める検索が増え始めています。
なおガソリンに関する検索は3月25日前後まで非常に高い検索数が続いていくことになります。

また、被災地でのガソリン不足も影響しているのでしょうか、この日あたりから、

「○○交通」
「○○交通局」
「○○バス」

といった検索が増えており、人々が積極的に活動をはじめている様子、さらには被災地においてローカルバスが重要な移動手段として利用されていることがうかがえます。

そしてもう一つ、この日より検索が増えてくるのが「入浴関連」のワード。

「○○ 風呂」
「○○ 銭湯」
「○○温泉」

といった検索や、銭湯・スパの名前など、入浴手段を探す検索が現れはじめています。

【3月14日】
3月14日は、岩手、宮城、福島で急上昇したワードが異なります。
なかでも特徴的なのが岩手県の「IBC」に関連するワードです。

「IBC」
「IBC安否情報」
「IBC岩手放送」

といった検索が非常に多くされています。
「IBC」とは岩手放送のことで、岩手県を放送対象地域とするテレビ・ラジオ放送局です。
地震以降、地元テレビ局や地元新聞社の検索はどの地域でも増えていますが、その中でも岩手の「IBC」の検索数の多さはずば抜けており、その当時のIBCがどのように対応されたのか詳細を把握しておりませんが、「安否情報」や「安否確認」、「安否情報サイト」といったワードとともに検索されていること、また3月13日の時点ですでにIBC安否情報というサイトを用意し、地元向けに提供していたことなど、これらの対応が地元に受け入れられ、安否確認の柱として活用されたのではと推測することができます。
安否の確認手段は今回の災害ではいろいろな手段や方法が存在しましたが、IBCの方法がなぜ岩手で非常に利用されたのかということを研究すると、最適な安否確認の手段というものが見えてくるのかもしれません。

なお、宮城県では仙台を中心として「ガソリン」に関連する検索が、

福島県では原発事故に関連するワードが非常に多くなっています。

また全体的な特徴として、

「ヨークべニマル」
「ユニバース」
「ジョイス」

といった地元のスーパーマーケットやイオン、ダイエーなどの食料品関係の店舗名の検索が増えてきており、開店しているのかどうかや営業時間を調べる検索が多かったものと推測できます。

【3月15日】
震災発生から5日目となり検索が増えてきているのが、宮城県警などの警察関連の検索。
「安否確認」などとともに検索されています。また、

「○○県 避難者名簿」
「○○県 安否情報」

という検索ワードも増えてきていることから、確認の取れない避難者や安否の確認に地震発生からかなりの時間を要する災害であったことがわかります。

そのほか検索が増えているワードとして、

「山形空港」
「福島空港」
「花巻空港」

や「高速バス」などの県をまたぐ長距離の交通手段が検索されています。

【3月16日~】
3月16日以降はライフライン・交通の復旧状況や安否情報の確認、ガソリンに関する情報の検索などを中心に、復興復旧に関するワードが検索されています。

【常に検索数の多いワード】
ここまで紹介してきたワードは、対象の日に検索数が増えたワードを取り上げたものでしたが、以下は地震発生日以降、常に高い検索数があったものをまとめたものになります。

・県庁、市役所、役場
・地元放送局、地元新聞社
・県教育委員会、学校
・県警、各警察署
・道路関連
・水道局、ガス局、電気のなどのライフライン系
・地元主要交通機関

これらに関連するワードは災害時に多く検索されており、つまり被災地においてこれらのサイトは情報源として非常に期待されているということになり、積極的な情報の配信が求められているということができるかと思います。

【災害時の情報の重要性と集約について】

ところが、東日本大震災ではその情報を配信するということに大きな問題が発生しました。
「サイトにアクセスすることができない」という問題です。

上記で紹介したようなサイトは災害発生以降多くの人が情報を求めアクセスしたため、大きな負荷によりアクセスが困難となりました。また役所や営業所などが大きな被害を受け、情報を更新できなかったり、インターネットの設備や環境に起因して情報提供できない場合もありました。

そのため、ライフラインの復旧状況を確認したい、交通機関・道路情報を知りたいといったその時に、適切な情報を得られないという事態が数多く発生していました。
Yahoo! JAPANでは公共性の高いサイトに関してキャッシュを行うといったかたちで、情報をスムーズに提供できるような取り組みを実施するなどの支援も実施しました。

そういった状況が発生した今回の災害を教訓に、今後同様の災害は発生した場合、被災地の人たちへその地域が特に必要とする情報を届けるにはどうすればよいのでしょうか。
前述したとおり、今回の東日本大震災のデータをもとにすれば、大規模災害時に被災地の人が情報を得る先としてもっとも検索するのは「県庁や市町村の役所のサイト」であったということができると思います。
この理由として、

・情報の信頼性や確度が非常に高い
・地域の情報に特化されている
・ポータル的な役割を期待できる

ということがあげられるのではないかと考えられます。
特に情報の信頼性の担保がいかに重要かは今回の災害で非常にポイントとなりました。
それゆえ、特に市町村、県庁といった公式サイトがつながらないという事態は、ライフラインなどの必要不可欠情報の欠損を発生させるとともに、不安や不公平、二次災害をも引き起こしかねません。

災害が発生してどこに何を探しに行っていいか分からない時、その市町村公式サイトが情報ポータルとなり、スムーズに提供できる環境を構築しておくことも災害対策の一つではないかと考えます。

また、さらに可能であれば、さまざまな要因により発生する必要情報の滞りを防ぐため、自治体のサイトがこれらの情報を提供できる場を用意しておくと、今回の災害時に発生したインターネット上の問題の一つが改善できるのではないでしょうか。

検証してきた被災地からの検索ログより、地域の人が特に必要とする情報は、

●電気・ガス・水道の被害・復旧状況
●配給、給水、避難所などの情報
●安否確認などの手段、情報
●学校、病院の状況
●道路情報
●銀行、ガソリンスタンド、食料品店の営業情報
●利用可能な銭湯など(断水時)

などということが判明しています。
これらの情報をすべて管理するのは非常に大変ですので、要点や概要だけでも自治体のサイトで伝えるような環境が構築されれば、個別のサイトがつながらない状況に陥ったり、更新ができない状況にあっても「情報伝達の欠落」を発生させず、被災地の人にとって非常に有益なものとなるのではないかと思っています。

最後に、Yahoo! JAPANでは「復興支援 東日本大震災」などのページで引き続き復興支援のために取り組んでおります。

また、Yahoo!検索ではこれからも災害に対し真摯に取り組むとともに、この災害から得られた経験やデータをもとにして、災害時においてYahoo! JAPANやYahoo!検索がどれだけ貢献できるかを考え、今後につなげていきたいと思っておりますのでこれからもYahoo!検索をよろしくお願いいたします。 

 

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